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お子さんの見方

どんなお子さんでも、できることとできないことがあり、得意なことと苦手なことがあります。一般的な発達と同じスピードで習得するものもあれば、早くに習得してしまうもの、逆に遅れて習得するものもあります。また、習得の仕方も人それぞれで、これは大人であっても同じことが言えます。例えば、肉じゃがを作ること1つにしても、レシピを見ずに母親に作ってもらった味を思い出し、材料を揃えどんな調味料が入っているかを想像して何となく同じような料理を作ってしまう人、料理本をよく読んで文字から情報を得た方が作りやすい人、テレビやアプリな どの動画から視覚的な情報を得た方が入りやすく作りやすい人、など様々です。同じ料理を作っても、1回目でうまくできる人もいれば、数回作ってうまくできる人もいるでしょう。また、卵焼きなどは1回目では中々上手に巻けなかったけれど、火加減や焼き時間、卵の量など、コツを掴むことで上手にできるようになった、というものもあるのではないでしょうか。

お子さんも同様で、「着替えること」「ご飯を食べること」「挨拶をすること」「お友達と一緒に遊ぶこと」など、幼児期・学童期に身につけておきたいこれらのことも、習得の仕方はそのお子さ んごとに違いますし、できるようになるスピードも違います。ですから、お子さんが苦手とするものであっても、身につけてもらいたい生活スキルがあるとするならば、一般的な方法だけではなく、そのお子さんにとって「わかる」方法に変えて習得してもらいましょう。

お子さんの得意・不得意も把握しておくと、支援もスムーズになります。「ある年齢になれば一般的に身につくスキル」も、それはあくまでも目安です。その情報は頭の片隅に入れつつ、目の前のお子さんに合わせて見てあげましょう。そうでなければ、「できるもの」と思っていると、それが できなかったときについ怒ってしまうものです。しかし、「できないかも」「苦手かも」という眼で見てあげていれば、「怒る」ではなく「丁寧にどうしたらいいかを教えていく」ことや「感情的にならないで子どもに接する」というやり方で、適切に伝えることができます。面倒くさいやり方ですが、少なくともその子どもは怒られることはありません。大人の場合、例えば日常的なスキルで40キロのマラソンが必要だとします。マラソンを得意としている人は「走るよ」「走っておいで」で達成できるかもせれませんが、普段から取り組んでいない、さらには体力 作りもコースも水分補給の仕方も知らない 私のような 人であれば、「できないよ!」「やりたくない!」とやる前から主張するのではないでしょうか。しかし、40キロのマラソンが日常的にやらなければならないものだとしたら、 私は 毎日が苦痛で取り組みも消極的どころかその場面から逃げてしまうかもしれません。どうしてもやらなければならないことだとするなら、まずは体力作りから、走るフォーム作り、そしてマラソンに適したウエアやシューズの準備、ドリンクの準備、回るコースの下見、そして、1日1キロから・・というスモールステップで 積み重ねたいな、と考えます。そうすることで、5年後には40キロを走ることができるようになるかもしれません。

お子さんの場合、この見通しの組み立ては周りの人が導いてあげることになります。「はさみで切ってごらん」「朝は起きたら着替えます」「相手の気持ちを考えて」と一般的に当たり前だと思われていることも、苦手だったりやったことがなかったりするスキルは、急に言われても「やれない」ようです。一般的なハードルから少し苦手な人向けのハードルに下げてみてあげましょう。日常の生活スキルも、スモールステップで、お子さんにあっ た方法で継続して取り組んでいくことで、やがて「大人になったときに身についている」を目指して取り組んでいきましょう。


参考文献:石川道子著『そうだったのか!発達障害の正解子どもの育ちを支えるヒント』

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